レイアウトというのは、アニメ制作では「原画の設計図」のようなものです。
大きなチームによって分業制で制作されるアニメーションの現場で、レイアウトはなくてはならない作業になってきました。
ということで、今回はこの「レイアウト」について勉強したことをまとめていきます!
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レイアウト(L/Oと略される)というのは、該当のカットに登場するキャラクターや背景がどのように配置されるのかということを指定する設計図のことです。また、カメラワークの指定もレイアウトで行われます。
アニメ制作の流れで説明すると、レイアウトの作業は絵コンテの次、原画の前に来ます。
絵コンテを作る主目的は、基本的に物語の流れを伝えること。従って、絵コンテで描かれる絵は、あくまでラフなものになります。
このラフな状態の絵を、論理的に説明して、誰が原画を描くことにとっても破綻しないようにするのがレイアウトの役割です。
レイアウトがない世界線を考えてみると、少しわかりやすくなるかもしれません。
前述の通り、(場合によりますが)絵コンテの絵は非常にラフな状態です。
もしレイアウトがこの世に存在しなければ、A4用紙を縦に5分割くらいにされた小さいコマの中にささっと描かれた絵から、原画マンが直接原画を起こさなければなりません。しかしその際、いちいち「あれ、このカットはこのキャラは画面のど真ん中なのかな?」「このカットの背景の道路は、右奥に向かって伸びているのか、それとも単純に左右に伸びているのか?」「このカット、主人公が左向きに喋っていることはわかるけれど、カメラのアングルは正面なのか下から煽るのか」というような疑問が湧いて来ます。
原画というのはしっかり描きこむ作業で、時間のかかるものです。その原画を描くときに不安を感じながら進めるのは効率が良くありません。それに、一度原画を描いてしまってから「実は絵コンテの意図と違ってしまっていた!」というような事に気がつくというのは非常に効率が悪いのです。
現代のアニメ制作は関わる人が多く、制作時間が限られています。時間のかかる作業のやり直しはなるべく避けなければなりません。
だからこそ、ラフな絵コンテから正式な原画に進む前に、一度レイアウトという作業を挟み、「本当にこの認識で正しいですね、大丈夫ですね!」という確認を行うわけです。
アニメーターの江口寿志さんが、過去に描かれた背景原図をまとめた『アニメーション背景原図集』という書籍があります。
この書籍には、例えば『新・キューティーハニー』や『妄想代理人』『デジモンアドベンチャー tri』などの背景原図が掲載されているのですが、これがレイアウトを学ぶために非常に参考になります。
冒頭で本書について説明している文章が非常に明快でぐっと来ますので、一部引用させていただきます。
原画の仕事には原画だけでなく、もうひとつレイアウトという重要な作業があります。ディレクターが描いた絵コンテに沿って、撮影フレームに動画と背景を描き示した設計図です。
(中略)
このレイアウトの背景部分が背景画隣、この線画を背景原図といいます。完成した背景画はフィルムに残りますが、背景原図は現場で消えてゆく宿命です。原画も同様に素材に過ぎませんが、アニメ雑誌や原画集などで目にする機会はあります。しかし背景原図に特化した本はなかなか無いのが実状です。
江口さんがおっしゃるように、あまりレイアウトに関する資料というものが世の中には無いので、細かくプロの仕事が見られるこちらの本は大変貴重で勉強になる資料となっています。Amazonでの評価が非常に高い一冊です。