アニメや漫画では、漫符(まんぷ)という独特の表現技法が使われます。
漫符とは、焦っているときの「💦」や、怒っているときの「💢」といったもののことです。
このページでは、漫符について改めてご説明するとともに、漫符の例として30個の漫符をご紹介します!
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漫画やアニメにおいて、現実ではありえないけれど、そのシーンを表すために描かれる符号(記号)のことを「漫符」と言います。
1990年から1992年に発行された『サルでも描けるまんが教室』(相原コージ・竹熊健太郎共著)という書籍で初めてこの単語が出現したとされています。この書籍では漫符のことを「感情や感覚を視覚化した、まんがならではの符号(記号)」だと説明しています。
ただし、こうした表現の手法自体は戦前の作品にも登場していて、昔から日本の漫画作品・アニメ作品で活用されてきた表現だと言えます。
また、漫符は日本だけでなく海外のコミック・アニメーションにも存在します。しかし日本の漫符は独自の進化を遂げたため、海外で利用されるものとは全く違うものが無数に存在します。
漫画やアニメで漫符が使われるのは、そのシーンで発生している状況をわかりやすく読者や視聴者に伝えるためです。
日常生活において人間は、非常に微妙な表情の変化や仕草等で自分の感情を相手に伝えます。感情の受け手も、本人の仕草だけでなく様々な文脈も含めてその人の感情を理解することができます。
一方、漫画やアニメのように表現の手段が限られた創作では、すべて役者の演技だけで伝わるとは限りません。
そこで、焦っている時には汗が大粒になって飛び出したり、目まいがした時には目をグルグルに回したり、恥ずかしい時には顔に線が入ったりします。
さて、現在使われている漫符表現は、無数と言ってもいいほどたくさんあります。また、あまり体系化されておらず、名称も決まったものがありません。
そこで、ここではなるべく多く、30個の漫符をご紹介します。とはいえ、はじめて見るものはほとんどないかと思います。なぜなら漫符は、どんな読者にわかりやすく伝えるものなので、元々かなりベタなものが多いからです。
なお今回、カナダ在住で日本や英語圏で活動されている、イラストレーターのReina Satoさんに30個全ての漫符を書いていただきました。気になる方は、彼女のウェブサイトやインスタグラムをチェックしてみてくださいね!『Life of a Nanaimo Bar』という英語の漫画も連載中です!
カーブ線にクロスの線をいくつか入れるだけで、賑やかな感じが出ます。
何かを達成したときや「すごいだろ!」と言っているようなシーンにこのマークを入れると、人物の心情が強調されますね。
血管が浮かんでいるという意味だと思うのですが、非常に一般的な「怒り」を表す手法ですね!
怒りを表す方法には、こういうマークを使う場面もありますね。「怒っているとき その1」のマークよりも、コミカルで少し笑えるような印象があります。
怒っているときに「雷が落ちる」なんて言うこともありますよね。このような雷マークを描くことで、なんとなく「ガミガミと」怒っている(怒られている)ような印象を受けます。
汗が垂れるという表現は、漫画やアニメではよくあります。表情次第でいろんな表現になりますが、基本はキャラクターが不安だったり恐怖を感じている場合に使われます。
焦っているときにも汗が使われます。ただし汗は汗でも、この場合は汗が飛び散るように描かれます。
これも非常によく使われますよね。ショックを受けたときの「ガーン」です。これを書いて、さらに背景に濃い色を重ねることで、なんとなく淀んだ空気が伝わってきます。
「はっ!」と気がついたときなんかに書かれるのがこう言った3本線です。3本とは限りませんが、要するに顔の周りにピッピッと線が書かれます。
気づきを表す別の方法としては、電球を描くことがあります。アニメであれば、「電球がに光がつく」というところまでセットの場合もありますね!
よくわからなかったり混乱しているとき、困惑しているときに、モジャモジャ線が描かれることがあります。「何言ってんだ・・・はぁ」というような、ため息まで聞こえてきそうです。
この頬に赤い線を入れる方法は、恥ずかしいとき、恋している時、熱があるときなんかにも使われます。
寝ているときに「Zzzzz」というマークが出るのも、現実ではありえない表現ですが、漫画やアニメの世界では一般的です。
寝ているときをあらわす別の表現として、鼻ちょうちんもあります。鼻ちょうちんをリアルに出す人はほとんどいませんが、漫画やアニメでは頻出します。
意地悪なキャラ、意地悪な事を言うときに、頭にツノがついて悪魔っぽくなります。可愛らしいつのの場合もあれば、文字通り鬼の形相で表現する場合もあります。
逆に優しい事を言う場合には、天使の輪がついたりもしますね。
好きな人や物を見たときに、目がハートマークになると言うのもよくあります。某国民的アニメの船上コックさんは、しょっちゅうハート型の目が飛び出しちゃいますね!
お金に目が眩んだときには、目がドルマークになる。これも非常によく見る手法です。某国民的アニメの警察官さんは、しょっちゅうドルマークの目になっていましたし、目の中でスロットが回るような表現もあったかと思います(笑)
本当の人間のに使う「目が回る」という表現は、あくまで例えであって、目が回っている人の目がぐるぐる線で回っているということはありませんが、漫画やアニメではぐるぐるの線が描かれます。
お宝を狙っているときなど、目の中がキラーンと光ったりします。
スポーツ漫画の努力をしているシーンなど、猛烈に何かに打ち込んでいるときに目の中が燃えるというのもよく見る表現手法です。
なんらかの理由で苦しいとき、特に可愛いキャラや可愛い雰囲気の作品では目が顔文字のようになる場合もあります。基本的には、デフォルメした感じのアニメが多いですかね。
苦しいときの別の表現としては、目がバツになることもありますね。
ため息をついたときに、本当に口から息が出てきたように描くのも、漫画やアニメならではです。
口から出てくるもので言えば、魂から口から抜けるというのはとてもユニークな表現ですね。これはいろんなコンテキストで使われますので使い道を一概に言えないというのも面白いところです。
「ヒューッ」て逃げていく、走り去っていく人の足は、だいたいぐるぐる線で見えないくらい回転しています。コミカルな作品に多い漫符です。
キャラクターが地団駄を踏むときに、地面から出てくる王冠のようなマークが登場し、地団駄による地面の衝撃の強さを表現します。地団駄でなくても、このマークはよく使われます。
人物が緊張しているとき、あるいは寒いときなど、とにかく体が小刻みに揺れているという事を表すために、体の周りに小さな波線(ギザギザ)を配すことも、よくあります。
なんらかの理由でそのキャラクターが怪我をしたときに、傷口に貼る絆創膏が、すごいデフォルメした上にバッテンで貼ってあることって、ありますよね。あんまり現実世界でばつ印に絆創膏を貼ることはないと思います。
誰かに殴られたときにたんこぶができるという表現は、昔の漫画には多く登場したように思います。最近は、様々な理由で殴るという描写自体が減ってきているのかなとも思います。