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ロシアでは、幼少期のアニメーション教育が日本より一般的!私の現地体験をお伝えします。

作成者: 遠山 怜欧|2020/07/31 8:00:00

「ロシアとアニメーション」と聞いて、どのくらいの方がピンとくるでしょうか?

ロシアにはユーリ・ノルシュテインというアニメーションの巨匠がいます。このブログを読んでいる方はご存知かもしれません。以前、ディレクター・オブ・フォトグラフィー(造形監督)の片塰さんにインタビューした際にも触れていただきました。

ということで今回は、ロシア出身のガリーナの寄稿記事です。彼女が実際にロシアで体験した、幼少期アニメ教育について話してもらいました。おそらく、世の中にあまり日本語の情報が多くないトピックだと思いますので、なにかしらのヒントになれば嬉しく思います!

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こんにちは、ガリーナです。

最近、ある教育機関でアニメーションコースの開講を計画しています。小学生から高齢者まで、誰もがアニメーション制作を体験できるような、素敵なコースを考えています。

そこでふと考えてみると、日本には小中学生やその前の年齢層向けに運営されているアニメ制作の部活動や、アニメ塾があまりないということに気付きました。アニメーターを仕事にするということが、あまり望まれていないからでしょうか?

私の地元、ロシアのノボシビルスクには、アニメーターの仕事はほとんどありません。しかし、150万人の人口しかいない土地に、19の子供向けアニメスタジオがあります。

アニメスタジオと言っても商業作品を作るようなものではなく、個人作家のアトリエのようなものです。作品作りや家賃の足しにするために学校を開き、子供や親子が通うというようなイメージで、様々な年齢層の人が参加しています。

日本にもそのような場の需要はあると思いますので、このプロジェクトはとても楽しみにしています。詳細は、今のところ秘密です。

ロシアのアニメーション教育事情

さて、ここからは、ロシアの子供がいったいどのようにアニメーションを作るかについてお話ししたいと思います。

私は幼い頃に、子供向けのスタジオに通ってアニメーションのことを学びました。そして、このアニメーションを8歳の時に作りました。

 

必ず卒業作品みたいなものを作らなければいけない訳ではありませんでした。私は、ある面白い話(少なくても当時は面白いと思っていた)を多くの人にわかりやすく伝えたいという気持ちがあって、スクリプトを書いて、キャラクターを考えて、作りました。

周りの子供達もみんな、お互いを見て、自分だけの短編を作りたくて、脳で汗をかくほど必死にアイディアを産み出そうとしていました。特別な理由がある訳ではなく「自分のアニメーションを作りたい」というところから、動く絵が生まれています。「背景だけを描きたい」「キャラクターだけを考えたい」といった人はいなくて、アニメーションを作りたい人ばかりでした。

それでは、アイデアが完成したとして、8歳の子供がどのようにアニメーションを作ると思いますか?

当時はパソコンが高く、板タブさえ普及していなかったので、技術的に幅広い選択肢はありませんでした。作画アニメーションか切り絵アニメーションか、時には砂やクレイなどの選択肢がありました。自分は作画アニメーションに当時からとても興味がありましたが、「子供ができるものではない。物凄い集中力が必要だ。」と言われ、切り絵で作りました。

ここがポイントです。「なぜ子供向けのアニメスタジオが存在するか」に対する答えのひとつが、切り絵のパペットを作る際に必要とされる器用な運動能力が、子供の成長にいい影響を与えるからです。こういった能力のことを、英語では「Fine motor skill」と言います。

カメラワークに合わせて、パペットのパーツを一つ一つ描いて、ハサミで切り分けて、更にワイヤーで結びつける。これは、最初から思った通りにできる作業ではありません。

こういった繊細な運動能力は、例えば、ピアノを習得することでも開発されます。このスキルは、大人になってから習得することは簡単ではないため、ピアノが苦手な子供には、代わりに切り絵アニメーションを習わせるのがいいかもしれません。

ロシアの子供向けアニメーションスクール『ポイスク』での日々

因みに、私が通っていた『ポイスク(日本語で「探索」という意味)』というスタジオは結構特別なスタジオです。1973年に設立され、5万人以上の子供達を育ててきました。1歳からの入校が可能ですが、「ここは幼稚園ではない。ここはクリエイターを育てているところだ。」と、設立者が自分の本で述べています。

私はこの学校に5歳から12歳まで通いました。幼稚園のように毎日通うクラスもあれば、1週間に1日だけというクラスもありましたが、私はこの両方に参加したことがあります。

日々のことについて話すと、このスタジオではずっとアニメを作る訳ではありません。美術的な基礎を学んだり、業界の話を聞いたりします。そして、パペットなどが完成してから、やっと撮影室に入れます。とてもレアな出来事でした。撮影室に向かう時のワクワクの感覚は今でも覚えています。アフレコの時には、録音室にも入りました。

何より、自分と同じような、クリエイティブな友達ができました。一緒に絵を描いたり、お正月のイベントでコスプレをしたり、遊びにいったりしていました。今はみんながバラバラの道を歩んでしまっています。ロシアの様々な地域、例えば、美術の首都であるサンクトペテルブルグや、アニメーション産業が盛んとなっているカナダのトロントで活躍しています。

学校に対しては、暗くて辛いイメージが残っているのですが、アニメスタジオに関しては、子供の頃のリアルのファンタジー世界という、最高の思い出しか残っていません。

日本でも、子供向けのアニメスタジオが普及するよう、頑張ります!

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読んでいただきありがとうございます!改めて、Toon Boomのガリーナと申します。

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