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Storyboard Proの強みはひとつのソフトで絵コンテを完結できるところ【竹内良貴監督インタビュー】

作成者: 遠山 怜欧|2018/09/21 19:21:22

今回は、『詩季織々(しきおりおり)|小さなファッションショー』で初監督を務めた竹内良貴監督に、Toon Boomの絵コンテソフト『Storyboard Pro(無料体験版はこちら)』について貴重なお話を伺うことができました。

『詩季織々(しきおりおり)』は、新海監督の作品を手がけてきたコミックス・ウェーブ・フィルムと中国のアニメ業界をリードするブランドHaolinersとのコラボレーションから実現した、3つの短編からなるオリジナルアニメ作品です。

『君の名は。』『秒速5センチメートル』など新海誠監督の作品をCGチーフとして長年支えてきた竹内監督ですが、オリジナルアニメの監督は今回が初めてとなり、また舞台も中国ということで、戸惑うことも多かったそうです。インタビューでは実際の絵コンテもお見せいただきながら、制作秘話を語っていただきました。

Toon Boom:今回の作品のご紹介、見どころ、そして苦労された点などあれば教えてください。

竹内監督:今回の作品は中国と共同で企画を立ち上げて作ったのですが、物語の舞台は中国と決まっていて。僕は日本人なので、中国をどう描くかというのが最初に悩んだことでした。中国人ならでは、みたいな作品はどうしても作れないと思ったので、それならばもう外からの視点で中国を描こうと思いました。

実際にロケハンにも行って、今の中国はどんな感じなのかというのを見て、それを作品に盛り込んだんですけど、ベースの所は日本人と同じ所もありつつ、またちょっと違う所もあって、そういう所をどう組んでいくのかというのが少し苦労しました。

あとは、今回初めてこの長さの尺の監督をして作品を作ったというのもあって、色々慣れない所があったので大変でした。今まで自主制作などで2〜3分くらいの尺が多かったので、やっぱり30分弱はまたちょっと違う規模感がありました。それは、チームでどうやって一緒にやっていくかという所ですね。

Toon Boom: 具体的に、日本と中国ではどんな所が違ったと感じられましたか?

竹内監督:例えばジェスチャーとか、無意識に出てしまうところが本などで読むだけでは分からないところなので、そういった部分は弊社の中国人スタッフに聞いたりして、なるべく違和感がないようにしました。

ただ、僕が作った作品に関しては、多分中国人っぽくはないですね、あんまり。うちの中国人のスタッフがやはり「日本人っぽい」と言っていたので・・・演技とか。そういう所は難しいですよね。

Storyboard Proを使う事で、紙に絵コンテを描いていた時に感じていた不便さが軽減され、効率的にできるようになった


Toon Boom:では次に、今回は弊社のStoryboard Proを使っていただき、絵コンテを描いていただいたのですが、使ってみてのご感想やご意見などをご自由にお話しください。

竹内監督:これが今回の絵コンテなんですけど(絵コンテを見せながら)、一週間くらい色々な機能を試したり、カスタマイズの部分を調べて、大体どういう事ができるのかひと通り試してみてから、使い始めました。

今までは紙に絵コンテを描いていたので、その時に感じていた不便さが、Storyboard Proを使う事でかなり軽減されて、効率的にできるようになったかなと思います。

紙に書くとやっぱりカットの入れ替えとか、順番を色々試すとかが大変なので、Storyboard Proでは試行錯誤しやすかったですね。

例えばレイヤーに絵をおけるので、カットの絵を色々なバージョンで描いて、タイムラインの中で再生して確認できるので大変便利でしたね。それを紙でやろうと思うとハサミで紙を切って、入れ替えて、スキャンして、それを編集ソフトで編集して・・・というプロセスが必要になるので、Storyboard Proだとオールインワンでひとつのソフトで完結できるので、そこが強みだと思います。

今回Storyboard Proを使っていなかったら、期限までに終わっていなかったかもしれないと思うくらい助けられました。後はその場で音を録ってのせられるので、その辺りのシミュレーションもやりやすいと思いました。

Storyboard Proは次回以降の作品にも使うと思います


Toon Boom:逆に使ってみて、ここはもうちょっと改善してほしいな、というようなご意見があればお聞かせください。

竹内監督:最初に一番戸惑ったのが、日本のアニメ制作では基本的に「カット」という言い方をするじゃないですか。でもStoryboard Proでは「ショット」という言葉を使っていて、そこが感覚的に分かりずらかったかなと。

Toon Boom: 実は、今ソフト内で「ショット」と表現している所は、日本語版では日本の制作環境に合わせて「カット」と修正しております!

ちなみに、今回作画はベクターかビットマップどちらを使用しましたか?

竹内監督:ビットマップを使用しました。あまり線を描いてからの修正はしなかったですね。

Toon Boom: では、最後にStoryboard Proを次回以降の作品にもお使いいただけそうでしょうか?

竹内監督:絶対使うと思いますね。もう紙には戻れません。(笑)

ただひとつお願いがあって、印刷フォーマットのレイアウトが、例えばカメラワークがある場合の表示がまだ完璧ではないのと、こういう出力の形に慣れていないスタッフが多くて、最初に説明するんですよね。尺の見方も「これはコマの秒数ですよ」とか。

アニメのコンテの秒数だと秒プラス何コマという表記なんですけど、Storyboard Proだと完全にフレームなので、その辺りの表記のカスタマイズなどができるといいなと思います。

あともうひとつあるといいなと思ったのが、尺をタイムライン上でフッテージを伸び縮みさせて、再生して決められると思うんですけど、スナップでカスタマイズができるといいなと。

Toon Boom:ラッピングする用のスクリプトはあるので、ご希望の方にはお渡ししています。

竹内監督:そうなんですね。ぜひ標準の機能としてスクリプトが用意されていると嬉しいです!

Toon Boom:分かりました!弊社では、こうしていただいたフィードバックを元にこれからもどんどんStoryboard Proを改善していきます。監督には是非、今後ともStoryboard Proをご利用いただき、良い作品をお作りいただけましたら嬉しいです!

竹内監督へのインタビューを終えて

Toon Boomはまだ、やっと日本支社を開設したばかりで、これから日本のアニメシーンで色々とお役に立ちたいと願っています。そんな私たちにとって、竹内監督からいただくフィードバックはとても貴重でありがたいことです。

改めて、今回のインタビュー及び日頃のご愛用、ありがとうございました!