フリーでアニメーション作品の演出を手掛ける熊本健士(くまもとたけし)さんは、Toon BoomのStoryboard Proを活用し、アニメ制作にビデオコンテを取り入れています。
今回はそんな熊本さんに、Storyboard Proの使用感と、これからのアニメ制作において絵コンテが果たす役割についてお話を伺いました。本ページでは、そのインタビューの一部始終をご紹介します。
ー お名前と、どんなお仕事をされているのかを教えてください。
熊本健士(くまもとたけし)と申します。テレビアニメーションやゲームの絵コンテをやっています。
ー どんなお仕事に Storyboard Pro をお使いいただいていますか。
例えば、ゲームのイベントシーンで30秒前後のアニメーションを作る時ですかね。そういった作品ではタイミングがとても重要になってきます。Storyboard Proなら、タイムラインを使って尺を決め込んでから作画ができるので、とても便利だと感じています。
ー 逆に、絵コンテを紙で書かれることもありますか?
自分が絵コンテ用紙を使うことは、今ではほとんどありません。大半の作業はパソコン上で行われます。
ー アニメ制作における、絵コンテの役割を教えてください
難しい質問ですね。絵コンテは設計書です。作りたい映像の意図と、その実現のためのプランを記載します。
今の映像作品は、2Dと3Dの表現が混在しています。そのためケースは様々ですが、例えば「今回は2D(作画)アニメーションなので、このカットはこのぐらいの動きで表現にしよう」というように、その制作手法で可能な表現を考慮しながら、コンテを描きます。
3Dの場合も、そのシーンを見せるためにはどのくらい映像を作り込まなければいけないのか?ということを事前に想定する役割が、絵コンテにはあると思います。絵コンテがあることによって工数計算がしやすくなります。
作業によって、後工程で調整に時間がかかることがあるので、そういった部分を先に洗い出します。
例えば人物に演技をしてもらうモーションキャプチャーを使った作品の場合は、演技のニュアンスを伝えるためにも絵コンテが役に立ちます。
ー デジタル技術を使ったビデオコンテだと、演出家さんや監督さんの演出意図を伝えやすいということなんでしょうか?
そうですね。
ー Storyboard Pro で特にお気に入りいただいている機能があれば教えてください。
タイムラインを使って、シーンやカットを作ることができるところです。手軽にタイムライン上でカットの尺調整ができます。すごく便利な機能だと思います。
例えば、一度作ってみた絵コンテの確認時、ちょっとだけ尺を短くしたいとか、逆に長くしたいと思った時に、Storyboard Proだとすぐに編集できます。
また、Storyboard Proでは、音声ファイルを読み込めるので、セリフを仮入れしてみて「このタイミングで大丈夫かな?」とか、そういったテストもできますし、Storyboard Proだと仕上げていく作業がやりやすいです。
あと、例えばあるカットの中で「もうちょっと動きを足したい」とか、「ちょっと間に動きを入れたい」とか、そう思ってひとコマ間に加えると、PDFとして書き出す際にもちゃんと反映されるところも、すごく便利だと思います。
そして何より、ビデオコンテを書き出せるところですね。紙の絵コンテだけでは伝えきれない情報をビデオコンテであれば伝えられます。
タイミングとか、ちょっとしたカットの流れとかの違和感は映像になってみて初めて「ちょっと変だな」と気づくこともありますが、Storyboard Proでの作業では、確認しつつ調整が行えます。クオリティを上げていくために不可欠なビデオコンテを、そのまま書き出せるというところが利点だと思います。
ー 自分でセリフを入れることはありますか?
そうですね、頻繁にあります。一旦自分で声を入れてみると、そのセリフの尺とかタイミングに合わせて絵を描き足したり、カメラワークを変えたりとか、いろんなことを試せます。
ー どのようにStoryboard Proを見つけていただけたんですか?
ネットで知りました。絵コンテはパソコン上で作成していましたが、当時の方法で絵コンテを書くときに、とても手間のかかる作業がいくつかありました。
例えば、一度書いた絵コンテを調整したくなった時。特定のカットの尺を変更するとか、カット数を増やしたり減らしたりする際の変更作業ですね。コマに描かれた絵の入れ替えを行うと、絵だけではなく文字も入れ替える必要があり、また、ページに空白の箇所が増えたりして可読性も悪くなります。
それと、ビデオコンテの作成にも手間がかかっていました。
細かい話になりますが、書いた絵コンテデータを使ってビデオコンテ化するとします。もし、絵コンテ用紙で作業をする場合だったら、用紙をスキャンしてデータ化しなくてはいけません。
そして、パソコン上で絵コンテのコマ部分をひとつひとつトリミングします。それらの画像をビデオコンテ用の素材としてファイルで保存し、動画編集ソフトに読み込んで、順番に並べるという作業があります。
これらの作業は動画編集ソフトで行っていましたが、その調整作業がとても手間がかかっておりました。
それがおそらく、Storyboard Proを使うきっかけだったと思います。
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絵コンテって、今後もうちょっと作り方や役割が変化していきそうな気がするんです。
従来の絵コンテ紙面のような形ではなく、例えば2Dや3Dでまずラフの素材を作ってみて、ビデオコンテを作ってしまうというような方法になるかもしれません。その方が映像のニュアンスがより伝わるし、イメージを共有しやすくなり、プロジェクトの進行もスムーズになるのではと考えています。
ー 先日別のアニメ監督の方と話をしていて「投資家へのプレゼンでも、絵コンテよりビデオコンテの方が圧倒的に伝わる」とおっしゃっていたことを思い出しました。
その通りだと思います。絵コンテは設計書ですので、読むためには技術が必要です。紙や画像による絵コンテの場合、映像の流れや時間軸を紙面から読み取るのはとても難しく、伝達の限界もあります。
ビデオコンテを見てもらうことでこの課題がかなりクリアされて、説得力が増すと思うので、そういった考え方にはとても共感します。
ー 外部の人だけでなく、制作チームのメンバーも結構動画で見た方が良いことありますよね。例えば、作品の宣伝担当者さんに、制作の初期段階で絵コンテだけが渡されているか、映像になったビデオコンテが渡されているかでは、全然違うと思います。
映像制作に関わる現場は、常にみんな忙しく、そんな中で絵コンテを読み込み、理解するのは時間がかかります。少しでも時間のロスは軽減させたいといったケースもあると思います。
そう考えれば、ビデオコンテを作るスキルは、今後絵コンテを書く人に求められてくると思いますし、そういった意味ではStoryboard Proというのは絵コンテを書く側のニーズに寄り添ったソフトなのかな、と思います。
ー 熊本さんがコンテを作るにあたって、大切にされていることがあれば教えてください。
自分が絵コンテを描くときは、実際に作業をする人数や作業期間を考慮します。絵コンテを描く人と、作画をする人というのは、大抵別の作業者であることが多いため、制約なしに好き勝手作れるというわけではなく、リソースは限られています。
一方で表現の仕方とその表現が与える印象について考えつつ、もう一方で、作業のことも考えながら絵コンテを描くことが多いです。何度も何度も描いては消しながら、作業をしています。
Storyboard Proで絵コンテを作ると、絵を描いて、それをすぐに動かせるので、動いているイメージがしやすいです。
だから、それを見て「じゃあここはこういうイメージで、難易度的にはこのぐらいの感じで絵コンテを変えてみよう」という感じで調整作業ができます。Storyboard Proの利点だと思います。
ー なるほど、よくわかりました。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
今回は、Storyboard Proをお使いの熊本さんに、ユーザーならではの貴重なお話を伺うことができました。お伺いしたビデオコンテの重要性は、非常に説得力のあるものでした。
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