Toon Boom日本支社は、Toon Boomのソフトウェアと日本のクリエイターたちの関係にフォーカスしたインタビューシリーズ『Toon Boom Interview Files』の連載をスタートします。第1弾となる今回は、2022年春にTOKYO MX、BS11で放送されたTVアニメ『ヒーラー・ガール』の原案・監督を務めた入江泰浩氏のインタビューをお届けします。 入江氏が、「今作の肝であるミュージカルシーンの実現に大いに役立った」と語るように、彼の制作に欠かせないツールだった絵コンテソフトStoryboard Pro。本記事では『ヒーラー・ガール』の事例からStoryboard Proの可能性についてお聞きしました。 続きを読む »
アニメ輸出が、2016年も絶好調!総務省統計発表に見る、海外での日本産コンテンツ
今や日本を代表するコンテンツとなったアニメの輸出に関するレポートが、先日総務省から発表されました。本記事では、そのレポートの内容をもとに、最新のアニメ輸出事情を探ってみたいと思います。
総務省情報流通行政局が2018年6月1日、新たに統計レポートとして『放送コンテンツの海外展開に関する現状分析(2016年度)』を発表しました。
このレポートはその名の通り、総務省が日本の放送コンテンツの海外輸出状況をまとめて毎年公表しているもの。調査対象は2016年度で2年前のものですが、日本のコンテンツ産業の成長度合いを、おおよそ把握できます。
このレポートによると、2016年度は全体的に放送コンテンツの海外輸出額が増加。そしてその中でも特に好調だったがアニメの海外輸出でした。
上記グラフの通り、放送コンテンツ輸出総額のうち実に77.1%をアニメの輸出が占めています。額にすると225億1千万円です(上記グラフでは元のレポートにならい、総数から不明分を除いています)。
このリサーチ結果から、日本のコンテンツ輸出におけるアニメの重要性が改めて明らかになった形です。
輸出されるアニメの幅は、広い
海外輸出されているアニメの例として、同レポートでは次のようなアニメを挙げていました。
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赤毛のアン
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機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ
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逆転裁判~その「真実」、異議あり!~
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ドラえもん
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ドラゴンボール
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NARUTO-ナルト-疾風伝
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ラブライブ!サンシャイン!!
『ドラえもん』のような昔から続くアニメもあれば、国内でも2010年代以降に急成長した『ラブライブ』、いわゆる海外ウケのしそうな『NARUTO』など、バラエティに富んだ興味深いラインナップとなっています。
アニメ輸出でよく採られる手法はなにか?
さて、アニメの輸出とひと言で言っても、その手法(契約)は多岐にわたります。
「番組放送権」や「インターネット配信権」そして「ビデオ・DVD化権」のように、日本で放映されたアニメを基本的にそのままの形で輸出する手法のことを、「番組販売権」と呼びます。またその他の手法としては、コンセプトや制作手法のみを輸出する「フォーマット・リメイク」というものや、「商品化権」といったものもあります。
アニメの場合、「番組販売権」に限ると更に放送コンテンツ輸出額における割合は上がり、番組販売権輸出の84.2%はアニメが占めることになります(上記グラフでは元のレポートにならい、総数から不明分を除いています)。
これは恐らく、ドラマやバラエティなど、他ジャンルの放送コンテンツは、現地の人が共感できる現地のキャストでリメイクする手段が採られやすい、ということにも起因しているのでしょう。例えばアジア各地で現地の俳優陣によってリメイクされたドラマの『花より男子』や、ベトナムでリメイクされたバラエティの『あいのり』などがその例です。
対してアニメは、現地で1から作り直す場合に脚本の整合性を取ることが難しかったり、そもそも制作のハードルが高かったり、何より日本のアニメそのもののブランドにファンが居ることなど様々な理由で、基本的にそのままの形で輸出されるのではと考察します。
アニメの輸出先
アニメの主な輸出先はアジアで、58%に達します。次いで29.1%が北米、ヨーロッパは7.7%しかありません。
日本人としては、パリで毎年開催される『Japan Expo』でアニメカルチャーが盛り上がっている様子がよく報道されるので意外ですが、数字で見るとアジア圏のアニメの盛り上がりこそ、見過ごせないことがわかります。
まとめ
Toon Boom本社のあるカナダでも、「自分は日本人だ」と言えば「アニメだ!」と返してきてくれる現地の方が多くいらっしゃいます。
それがクールジャパン政策であるかどうかはひとまず置いておいて、アニメに対する海外のニーズが高いことは定量的定性的に証明されています。それに対して日本のコンテンツメイカーはどんな事ができるでしょうか。
これからの発展が楽しみです。
参考: