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【第92回アカデミー賞】Toon Boomで制作されたノミネート作は、どれ?

日本時間2020年2月10日に授賞式が行われる第92回アカデミー賞(オスカー)の長編アニメ賞にNetflix初のオリジナルアニメ作品『クロース』が、短編アニメ賞に『ヘア・ラブ』がノミネートされました。この2作品はどちらもToon BoomのソフトStoryboard Pro と Harmonyを使って制作されたものです。

Toon Boomのソフトを制作に導入した小規模スタジオや個人アニメーター達が、世界の大規模スタジオに匹敵する高い技術を発揮し、素晴らしい作品を生み出しました。

アカデミー賞は、芸術と技術において素晴らしい功績を残す作品を称えるために毎年開催されているコンペティション。今年は史上最多となる32作のアニメーション作品が出品されました。その中には、日本からも『天気の子』などの作品が含まれておりました。

Netflix初オリジナルアニメ作品『クロース』について

 

『クロース』はスペインのマドリッドを拠点とするSPAスタジオで制作されました。監督のセルジオ・パブロ氏は『怪盗グルーの月泥棒』の共同クリエイターとして、また1990 年代にはウォルト・ディズニー・スタジオでアニメーターやキャラクター・デザイナーとして活躍してきたベテランです。今回の『クロース』は初監督作品となります。

本作品は、光の扱い方に関して多方面から高い評価を得ています。一見すると3DCGにも見える非常に高い品質のアニメーションが、実はHarmonyを使った2Dで制作されており、エフェクトによって仕上げられているということは、日本ではまだあまり知られていません。同時に手描き技術ならではの独特の暖かみが、観る人に響いた作品でもあります。パブロ氏は以前、Toon Boomのインタビューでこの作品について以下のようにコメントしています。

「私が脚本を書く際は、セリフ以外に体の細かな動きまで伝える情報はかかないようにしています。そうすると、アニメーター達は、物語の背景にある膨大な量の意味を、自分たちで読み解かなければいけなくなります。でも、その方が、私はより良い映画が作れると思っているんです。」

また同氏は、このインタビューでToon Boomについても以下のようにコメントしています。

「Toon Boomは私たちを支えてくれた素晴らしいパートナーで、高いレベルが求められた『クロース』の制作には本当にかかせないものでした。Storyboard Pro と Harmonyのソフト間の移行がとてもスムーズで、おかげでアニメーターや仕上げのアーティスト達はどんな忙しい状況も乗り越えられました。」

短編アニメ作品『ヘア・ラブ』について

 

『ヘア・ラブ』はソニー・ピクチャーズ アニメーションの新作『アングリーバード2』の同時上映作品としてアメリカ国内だけで公開された作品で、ロサンゼルスにある6ポイント・ハーネスというスタジオが制作しました。

この5分の短編アニメ作品は、2017年にキック・スターターというクラウド・ファウンディングサイトで注目を浴びたプロジェクトで、目標の7万5千ドルを大幅に超える28万4千ドルの資金が集まり作られました。この金額はキックスターターで立ち上げられた短編アニメプロジェクトの中では最高額を記録しています。またこの作品は後に絵本として出版され、ベストセラーにもなりました。

この作品の原作者であり監督のマシュー・A・チェリー氏は、メディアの取材インタビューで、この物語について以下のように語っています。

「私たちは黒人の若い世代が自分を投影できる作品を作りたかったのです。タトゥーやブレイズヘアをして、いわれのない非難を受けやすい若い黒人の父親だとしても、世界でも一番の父親になれるのだと、この作品を通して知って欲しかったのです。人々の見方にこの作品は多くの影響を与えたと思っています。」(チェリー氏)

まとめ

ということで、記事タイトルの答えは Netflixの「クロース」と短編作品の「ヘア・ラブ」でした!オンライン配信作品と、クラウドファンディング発の作品というのは、なんとも最近らしいですね!いずれも日本にも確実に来ている流れですので、2020年も注目していきたいと思います。

日本支社としては、『天気の子』をはじめとする日本作品が今回ノミネートを逃してしまったことが残念ですが、きっと次こそと願っています!!