Toon Boom日本支社は、Toon Boomのソフトウェアと日本のクリエイターたちの関係にフォーカスしたインタビューシリーズ『Toon Boom Interview Files』の連載をスタートします。第1弾となる今回は、2022年春にTOKYO MX、BS11で放送されたTVアニメ『ヒーラー・ガール』の原案・監督を務めた入江泰浩氏のインタビューをお届けします。 入江氏が、「今作の肝であるミュージカルシーンの実現に大いに役立った」と語るように、彼の制作に欠かせないツールだった絵コンテソフトStoryboard Pro。本記事では『ヒーラー・ガール』の事例からStoryboard Proの可能性についてお聞きしました。 続きを読む »
『GREAT PRETENDER』を、アニメ好きなロシア人がレビューしてみた
『GREAT PRETENDER(グレートプリテンダー)』というアニメが、NETFLIXで6月に公開されました。主人公たちが世界各地で活躍する作品で、ストーリーにグローバルな側面を取り入れつつ、表現に日本アニメらしさを融合した、挑戦的な作品になっています。
そんなアニメを、ロシアから日本に来て、日本でアニメ業界に従事する、いわゆる「海外のアニメファン」はどう見たのか!?
ということで今回は、Toon Boom日本支社の営業担当、ロシア出身のガリーナに記事を寄稿してもらいました。彼女らしい日本語表現をなるべく残して編集したので、いろんな文化のミックスをお楽しみください!
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こんにちは、ガリーナです。
私は、実は個人的にロシア語でブログを書いているのですが、NETFLIXで見たお気に入りのコンテンツについての記事がテーマに合わなすぎて困っていました。今回、Toon Boomのブログを書けることをとても嬉しく思います😬
特に最近は『GREAT PRETENDER』というアニメを見ましたが、感想を共有したいという強い気持ちがあります!
まず、初めてアテンションを引いたのはキャラデザの担当者がフリクリで有名な貞本 義行さんであることです。やはり普通の日常的な服を着ているキャラクターでもとてもスタイリッシュに見えますね。
でも、私はキャラデザだけでアニメに時間をかけない人です。
『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』の新しいエピソードをNETFLIXで見た後、NETFLIXのアルゴリズムにより、自動的に次に見るショーのプロモーションが流れていました。それが『GREAT PRETENDER』の数カットでした。
主人公が財布から新聞の札を取り出し、警察から逃げているところでした。偽物の札という、詐欺的な様子と、アクション映画でみるような警察から逃げている姿が珍しいと思いました。何百ものアニメタイトルを見たことがあるので、やはり珍しいものを見つけたら、見たくなる訳です。
『GREAT PRETENDER』に見る、キャラクターデザインの「ここが好き!」
やはりキャラデザの天才の成果物を見るのが楽しいです。自分はデッサンが好きで、電車に乗る時、周りの乗客の様子をデッサンに起こすことがあるのですが、貞本さんも同じことをやっているのかな、と思いました。キャラクターの特徴が明らかです。
魔法少女などのアニメでは、髪型や瞳の色でしかキャラクターの区別ができないが、『GREAT PRETENDER』では、色を白黒にして、髪型を消したとしても、誰が誰なのかがわかるし、絵だけでなく、動きもそれぞれ違います。しかも、日本人、アラブ人、フランス人等、多国籍の人柄が違うキャラクターの触れ合いを見るだけで楽しいです。
『GREAT PRETENDER』に見る、演出の「ここが好き!」
カットとカットがスムーズにつながっているのは、当然かもしれませんが、私が特に驚いたのは、映画の編集で使われるノウハウがアニメでも使われて、とても自然に見えたということです。画面を4等分に分けて、起きているアクションの様子で一つずつ画面を切り替えるというテクニックでとても感動しました。
フレディー・マーキュリーによる『GREAT PRETENDER』
エンディングでは、とても可愛くてクレヨンで描かれたような子猫たちが歌っています。1話を見終わって、お茶をいれる時とか、散歩する時とかにエンディングを思い出して、その猫たちが共に浮かんできます。映像と音の親和性が素晴らしいです。
更に、なぜかQueenの『We Are The Champions』を歌いたくなりました。なぜだろう、と思ったら、この作品のエンディングがフレディー・マーキュリーのソロ曲『GREAT PRETENDER』だったからでした。ちょうどこの間『Bohemian Raphsody』という映画を見返しましたが、フレディー・マーキュリーの孤独の様子をとても分かりやすく語る歌ですね。主人公も、実は寂しいということですね。
私はNETFLIXの設定で、オープニングとエンディングを見逃すようにしています。ただ、本作は音楽と映像の親和性が高いので、見たくなります。
エンディングが始まると、素早く携帯を手にとって、見逃さないようにボタンを押します。設定を変えるのはやはりやり過ぎだと思いました。
両方に関しては思いついたことがあります。クレヨンのテクスチャーを使ったり、単色で塗り潰されたキャラクターアニメーションにしたりすることは、実はカットアウトにとても向いています。こういう時こそ、Toon Boom Harmonyを是非使って欲しいのです🧐
『GREAT PRETENDER』の多言語カルチャーがすごい
突然ですが、私は外国語を学ぶのが好きです。ロシア語が母国語で、現在は日本語と英語でビジネスをしています。大学時代、中国語も勉強しました。今はフランス語を勉強しています。
『GREAT PRETENDER』の最後のストーリーでは、中国語も、フランス語も使われていました!少しだけ理解ができて、嬉しかったです。外国語で話した声優は外国人なのかな。とても自然に聞こえました!母国語ではないので、本当に自然なのかどうか分かりませんが… 笑
こんなにたくさんの感想を生み出す作品が存在することで、アニメーション業界で頑張り続けるモチベーションが湧きます!
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読んでいただきありがとうございます!改めて、Toon Boomのガリーナと申します。
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