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まんきゅう監督未発表作のビデオコンテを公開!STORYBOARD PROの使い心地を伺いました。

『Storyboard Pro 7』がついに発売されました。Harmony17には搭載済みだった高性能ブラシエンジンや新しいガイドが遂にStoryboard Proに搭載され、タイムラインにも様々な改善が加えられました。今のところ、たくさんの反響をいただいています。

話は変わりますが、Toon Boomは、日本中の大人を号泣させている映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』のまんきゅう監督とともに、しばらく時間をかけてひとつのプロジェクトに取り組んできました。Storyboard Proを使ったまんきゅう監督のオリジナル未発表作品のビデオコンテ制作プロジェクトです。

ということで今回はそんなまんきゅう監督に、未公開のオリジナル作品について、そしてStoryboard Proの使用感についてお話を伺いました。

Storyboard Proとは?

Storyboard Proは、絵コンテやビデオコンテを制作するためのWindows/Mac用ソフトウェアです。日本国内外を問わず、様々なクリエイターさんやスタジオにてご利用いただいています。2019年12月に発売されたばかりのStoryboard Pro 7では、人気の高かったブラシ機能やタイムライン機能にさらに磨きがかかりました。

製品情報:Storyboard Pro の3つの魅力
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【本邦初公開】「食肉と食育」がテーマのまんきゅう監督新作ビデオコンテ


ー (上のビデオコンテ作品を見ながら)こちらがまんきゅう監督にStoryboard Proで作っていただいた、未公開作品のビデオコンテなんですけど。本作にはタイトルはありますか?

タイトル、決めてなかったですね。

ー 今回の作品は、『Storyboard Pro』のテストのためのビデオコンテという訳ではなくて、最終的には、この作品を本当にアニメ化したいということは強調したいですよね。

そうですね、アニメ化したいですね。例えばYouTubeでいっぱいつくるというのに向いてるかなって思ってます。

この作品は、基本は食育をベースに考えているんです。食材のおいしい調理の仕方とかもそうですし、食材の気持ちが分かるようになるということも含めてです。命をいただいてるっていうことを、なんとなく感じられるような作品なんです。

余った食材が主人公っていうのもポイントかなっていう気はします。

ー ブレストのときからずっと「世界で見られる作品を作りたい」っていうことが、共通の目標になっていますよね。

ずっと僕、世界しか見ていない。

ー それはなんでですか?これまでは基本、日本の作品が中心でしたよね。

誰かに必要とされて作る作品は、『アイマス』にしても『すみっコ』にしても、国内がメインだったりするんですけど。

でも例えば、こういう自分で好きに作れるやつは、世界の人に向けて作りたいなっていうのを昔から思ってて。

日本はどんどん市場が小さくなっているし、既存の強いキャラクターもたくさんいるじゃないですか。『ドラえもん』とか『アンパンマン』とか。そういうビッグタイトルと日本で張り合うより、もっとキャラクターが必要とされているところで勝負したいなって考えていまして。

ー なるほど。海外に作品を持っていくときの考え方として、日本国内の物語をテーマにして世界で見てもらう方法と、テーマからして現地でウケる物を作るという方法があると思うんですけど、まんきゅうさんとしては「海外の人だったらどういうのがウケるのかな」とかいうことをやりたいんですか?

そうですね。ちゃんとローカライズしたいですね。アメリカの人だったら、それこそピザとか、ハンバーガーとか、ソウルフードがあると思うんで、その地域ごとのソウルフードに特化した作品にどんどんアレンジしていきたいなって思ってます。

まんきゅう監督インタビュー_03-min

ー 食だとそういうことがしやすいですよね。

例えば北米の人が納豆とか漬物をメインにしたストーリーを作ったとします。日本人として「おい、キミたちネイティブじゃないのに!」って感じる人もいると思うんですけど、逆にそういうのちょっと見たいじゃないですか。彼らから見た納豆とか漬物は、どういうふうに演出されるんだろうって。僕はそういうのすごく楽しいと思う。

海外の人だからこそ発想できることがあるんですよね。

そして、そういうのをいろんな国に配信できると楽しいなっていう気はしてて。

ー かつ、その裏に食育があると。ビデオコンテでも、最後の部分は真面目なクッキングになっていますよね。

そうですね。最後、おいしく調理されてるっていうのはこのシリーズでは絶対欲しいんです。

それまでの部分は「抜け」なんです。もちろんそこにストーリーがあって、主役の子たちと調理されるキャラとの関係性が変わってきたりとか、途中で喧嘩したりとか、新しい子が入ってきたりとか、いろいろ変わっていくと思うんですけど、そこはあくまで世界観を広げるための前座なんです。

メインはクッキングで、最後は絶対おいしい料理になってるっていうところが結構大事かなって思っています。

ー 何本ぐらい作っていくイメージですか?YouTubeだったらずっと続けられそうですよね。

無限にいけそうですよね。

アニメーションの方は、なるべく制作のカロリーを落とせるようにして、クッキングのほうは例えば実写にして、ちょっとリッチに見せたりしてもいいかもしれません。

ー ブレストをした時には、いろんなバージョンつくりたいっていう話もしてたじゃないですか。日本に適したバージョンが完成したら、今度はアメリカ向けのものが出て、それを見たイスラム圏のスタジオが派生コンテンツを作ったりとか。どこに派生しても、「余り物のフード」を「おいしく食べる」というコンセプトが残る。

そうですね、おいしく食べるって大事かなと思うんですよ。

まんきゅう監督インタビュー_04-min

画像:本企画のブレスト時のメモ

あと今回のTボーンステーキって、あんまり日本では馴染みが薄かったりするじゃないですか。そういったものをあえて食材として取り入れるのも面白いですよね。こういう食材があって、こういう調理法があってとかということを見ている人が楽しく知れるんです。Tボーンの向かって右がサーロインって、左がヒレなんてこと、知っているようで知らなかったりするじゃないですか。お肉の一番いいとこを1つの料理で両方味わえるんです。

ー なるほど。ということでアニメ化の際にはぜひ、Toon Boomの『Harmony』でやりましょう(笑)

ぜひ。それこそそうですよね。Storyboard Proでコンテ切ってHarmonyで映像化したいです。

ー この記事と動画が、出資者と、作品制作に興味があるプロダクションに届くように記事を拡散します!!!

届くといいな。

アニメ化したいスポンサー、クリエイターを随時募集します。

まんきゅう監督による本作品のアニメ化にチャレンジしたい個人・団体の方からのご連絡をお待ちしています!Storyboard ProやHarmonyといったデジタル技術のサポートは弊社がしますので、興味がある方はお問い合わせください。

問い合わせ先:marketing@toonboom.co.jp

Storyboard Proは、コンテの段階で完成図をイメージできるのが良いです。他のソフトにはないところです。

ー このコンテンツを作るにあたり、まんきゅうさんにははじめてStoryboard Pro(バージョン6)を使っていただきました。このソフトのこと、以前からご存じでした?

噂では。

ー ありがとうございます。実際に使ってみて、Storyboard Proはいかがでしたか?

すごい使いやすかったです。絵コンテを作りながらビデオコンテができるっていう点はもちろん、タイムラインにすることで、完成品に近いものをコンテの段階で確認できるっていうのは、ほかのソフトにはない強みかなって思います。

まんきゅう監督インタビュー_05-min

紙で書いてると、時間軸が結構雑なんですよね。実際並べてみると、「ここもうちょっと欲しかったよね」とか、逆に、「ここ、いらないよね」っていうのが出てきます。Storyboard Proなら、実際の尺と同じ映像に音もつけて確認できるじゃないですか。だから、それを見ながらこのカットはいらないのかなって判断できる。

監督や演出の意図を、より正確にスタッフ間で共有できるっていうのが、かなり強みかなと思いましたね。

ー 今回のビデオコンテを作るときは、声もご自身で入れてみました?

これ、全部自分で入れました。

最初に音だけを編集して作りました。例えば、2分なら2分で音だけをつくっちゃうんですよね。そして、そのセリフに合わせて全部カットを切ってく、みたいなやり方でした。

ー じゃあ、ラジオドラマみたいな感じで、まずはそれだけで聞けるようにしてから絵をつくったんですね。何が大変でしたか?

なんでもできてしまうので、逆に言うと監督が一人でやりすぎてしまわないように意識したほうが良いと思いました。

あまり細かく作り込んでしまうと、その後の工程でそれ以上のものになりづらいという感覚があります。アニメーターが監督と同じことをなぞって綺麗にしてくっていうだけ、みたいになっちゃって。「こんなふうに上げてきたの!?」みたいなサプライズが、ちょっと減っちゃうかなっていうのも思ったりはしました。

だから、意図的に現場で最低限共有できるぐらいの情報にしておいて、最終的には面白くしていくという使い方も良いですね。絶対狙い通りにしたいとこだけは手間をかけて。

描き始めると楽しくなっちゃうんです。

まんきゅう監督インタビュー_07-min

ー Storyboard Proだけでもアニメっぽいことができちゃいますもんね。

そうなんですよね。なので、その辺をいかにバランス良くやるかっていうのが難しいかなって思います。

はじめてStoryboard Proを使ってみて苦労した点

ー まんきゅうさんは、今後Storyboard Proをどんなプロジェクトに使ってみたいですか?

たぶん、いきなり大きなプロジェクトでやるとかなりリスクがあるんで、例えばショートアニメとかで、5人とか10人ぐらいの小規模なやつで、かつ長く続けられるプロジェクトで使いたいです。例えば、1年で50本、週1本、必ずやらなきゃいけない作品とか。

あと、必要に迫られるとみんな一生懸命覚えたりするんで、1回Storyboard ProとHarmonyだけを使用するプロジェクトをやれるといいなっていう気はしてますけどね。強制的に覚えるやつを。

ー ぜひやりましょう。

Flashが流行ったときってそんな感じだったんですよ。自分は当時ショートアニメのディレクターをしていて、自分のチームが3人〜4人ぐらいのチームだったんですけど会社からの指令でFlashのみで作っていました。

そうすると、みんなで新しい使い方を発見したり、発見したことを同じソフトを使う別のチームに「こんなのあるよ」って共有したりしてました。

当時僕が所属していた会社は、日本中からFlashクリエイターを引っ張ってきて、「1年間、このソフトだけでレギュラープロジェクトをやりなさい」みたいな感じでした。そうすると、その中でみんないいものをつくろうとするので、いろんなソフトの使い方を編み出していくんですね。

ー いい意味の縛りとして、そういう表現を磨いていったんですね。

そうですね。

ー Storyboard Proのひとつのメリットとして、ビデオコンテを書き出せるところがありますけど、それが生かせそうな場面とかって想像されました?

個人だけで導入するのはちょっともったいないなと思って。さっきもちょっと話しましたけど、紙でしか描かない方もいらっしゃって。僕が、Storyboard Proでアウトプットしたのを紙でまた戻されても、なかなか対応しづらいんですよね。

なので、Storyboard Proでビデオコンテベースでやるんだったら、少なくともコアスタッフとはファイルを共有できるプロジェクトで使いたいなと思いました。

あとCM案件とかは、Storyboard Proをガンガン使えそうな気がしますね。

ー それはどういう意味ですか?

CMスポンサーの方は絵コンテが読めない方もいらっしゃるので、ビデオコンテで出してあげたほうが、たぶんテンポ感とか分かりやすいかなっていう感じです。

それに、CMとかだと最初からかなり作り込んだほうが、あとでリテイクが少なくて済むっていうところもあります。オーダーがふわっとしてたりするじゃないですか。

ー そうでしょうね。普段アニメを作っていないクライアントは、なかなか勘もないだろうし。

そうです。やっぱり初期に実物に近い映像を見ると「もうちょっとこれを足したいな」とか、「ここはいらないな」とか判断しやすいと思うんで、そういう意味でも、CM案件は向いてますよね。

もちろん監督側にもメリットがあります。何回も紙に絵コンテを描いて、それを切り抜いて、Premiereで編集して書き出して、みたいな作業をやらなくて済むじゃないですか。一発で書き出しまでいけるわけで。

新しいStoryboard Pro 7は、描き心地がガラッと変わりました

ー 先ほど、Storyboard Pro 7のベータ版をちょっと触っていただいたんですけど(取材はStoryboard Pro 7の発売前に行われました)、使用感はいかがでしたか?

まんきゅう監督インタビュー_06-min

Storyboard Pro 7は、描き心地がガラッと変わりましたね。描き心地を好みに合わせて調整できるっていうのがすごいです。逆に、iPad Proでのドローイングは手軽なんですけど、あんまり選択肢がないというか。なので、Storyboard Proのほうが良いって思う人も多いんじゃないかな。

ー 今回性能が向上した筆圧やスタビライザー、描き味っていうところは、絵コンテやビデオコンテを描く際に重要ですか?

そうですね。そこであまりストレスを感じるとクリエイティブに集中できないので。

ー その他、気になった部分はありましたか?

痒いところに手が届きはじめている空気をすごい感じています。細かい点、今後もバージョンアップを重ねるたびにちょっとずつ改善していくといいなって思っています。

ー より使いたくなるソフトに近づいている、というような。

そうですね。

ー ありがとうございます。