Toon Boom日本支社は、Toon Boomのソフトウェアと日本のクリエイターたちの関係にフォーカスしたインタビューシリーズ『Toon Boom Interview Files』の連載をスタートします。第1弾となる今回は、2022年春にTOKYO MX、BS11で放送されたTVアニメ『ヒーラー・ガール』の原案・監督を務めた入江泰浩氏のインタビューをお届けします。 入江氏が、「今作の肝であるミュージカルシーンの実現に大いに役立った」と語るように、彼の制作に欠かせないツールだった絵コンテソフトStoryboard Pro。本記事では『ヒーラー・ガール』の事例からStoryboard Proの可能性についてお聞きしました。 続きを読む »
近年、絵コンテの代わりに動画のコンテが使われることが増えています。動画のコンテというのはつまり、動画になっている絵コンテのことです。
ただし、日本のアニメ業界ではこれを「ビデオコンテ」と呼ぶことが多いので、このページでは「ビデオコンテ」と表現します。他にも「Vコン」と言う方もいますし、海外では一般的に「アニマティクス（animatics）」と呼ばれます。CG業界では「プリビズ」とも呼ばれます。
ということで、今回はこの「ビデオコンテ」について勉強したことをまとめていきます！
ビデオコンテって、なに？
冒頭の説明通り、ビデオコンテとは動く絵コンテのことです。
簡単なおさらいですが、そもそも絵コンテとは映像作品の設計図です。その作品を作るために必要なカットや、各カットで発せられるセリフ、カメラアクションなどを記載しておくもので、紙やPDFで作られます。アニメや実写の商業作品では、この絵コンテを基にして制作現場で作業が進められます。
これは、ファイルフォーマットで言えば「PDF」や「JPG」や「PNG」で作られます。再生することはできません。つまり、静止画と文字情報を見る人が脳内で補完して完成映像を予想することになります。
この設計図を、より直感的かつ具体的にイメージできるようにするのがビデオコンテです。
ビデオコンテはあくまで設計図なので、映像の中のキャラクターが滑らかに動くことはありません。でも、再生すれば実際の作品と同じ速度で作品が進行しますし、カメラが動いたり仮のセリフが入ったり、場合によっては効果音や音楽も入るので、演出を考える人の頭の中の構想が見る人により忠実に伝わります。
上の映像を再生していただけばわかる通り、ファイルフォーマットで言えば「MP4」や「MOV」になります。繰り返しになりますが、映像で作る設計図なのです。
ビデオコンテのメリットを、建築業界で例える
例えばオーダーメイドの家を作るとき。建築家に「完成形はこれです！」といって紙の資料を見せてもらっても、実際の動線とか各部屋のサイズ感をイメージしづらかったりします。消費者としては、大金を払うことになるので失敗したくないですよね。
だから建築家は、設計段階で発泡スチロールの模型を作ります。2Dだとわかりづらいものを3Dにして、企画時に可能な範囲で完成形に近づけて、お客さんに安心してもらうのです。
一方、アニメでも実写でも商業映像作品にはお金を払う人がいます。CMならわかりやすくスポンサーがいますし、映画なら配給会社が、テレビアニメなら製作委員会が「これで行きましょう」と、リスクを取ります。家を建てる人が、より完成形に近い模型を好むように、スポンサーもより完成形に近い映像の方がいいですよね！
これが、近年ビデオコンテが増えているひとつの理由です。企画段階のリソースでできる範囲で、完成形の作品に近くなるよう、絵コンテをビデオにします。
ビデオコンテは、制作者の役にも立つ！
今、例がイメージしやすいようにお金を払う人目線で話しましたが、実は設計図を完成形に近づけることは、作品を作る人にとってもメリットがあります。建築家自身だってきっと、絵で完成形を描くだけではなく、モデルにした時に初めて思い浮かぶアイデアや気づく課題があるはずです。
映像も同じです。絵コンテに時間（尺）の概念が加わることで、退屈なカットを見つけたり、足りると思っていたセリフの尺が足りていなかった、なんてことがわかったりします。
あるいは監督の意図したことを汲み取る立場のアニメーターやカメラマン、演者や声優さんなんかも、絵コンテよりも情報量の多いビデオコンテを見ることで、より良い作品を作ることができるのです。
新海誠監督も愛用するStoryboard Proが、ビデオコンテ作りに適しているワケ
そんなビデオコンテの作成を得意とするソフトが、Toon Boom Animationの『Storyboard Pro』なんです。
Storyboard Proでは、絵コンテを書くことはもちろん、書いた絵コンテをカットごとの秒数に合わせ、さらに音声とも合わせて動画として書き出すことができます。
この機能を非常にご愛用いただいているのが、『天気の子』や『君の名は。』で有名な新海誠監督。
新海監督がStoryboard Proで制作した『君の名は。』のビデオコンテ
Toon Boomが以前、新海監督にインタビューをさせていただいた際、監督は次のようにおっしゃっていました（詳しくは『Storyboard Proには絵コンテに必要な機能が過不足なく入っている【新海誠監督インタビュー】』をご覧ください）
（Storyboard Proは）もう必須ですね。やっぱりビデオにもエクスポートできるので、スタッフともシェアできますし。今日もStoryboard Proで書き出したムービーを、普通に一本上映する感覚で９５分位みんなで見てたんですけど、そうすると完成映画を見ている感覚に限りなく近いんですよね。
絵はもちろん、これから差し代わっていくし、声も本番で差し代わっていくけど、仮でも全部載ってる訳だから、こういうのを見ると例えば絵を描くスタッフじゃなくても作品に対していくらでも意見が言えますよね。
単純に、「早すぎる」とか「遅すぎる」みたいなスピード感も含めてもそうだし、あと「面白い」「面白くない」みたいなものも。
この状態で面白くなければそれはやっぱり面白くないんですよ。こういうシビアな判断ができる。テキスト
引用：Storyboard Proには絵コンテに必要な機能が過不足なく入っている【新海誠監督インタビュー】
ということで、新海監督にはStoryboard Proのビデオで書き出せる機能をとても気に入って使っていただいております。
Storyboard Proを使ってみる
Storyboard Proについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらの製品ページからご確認ください。
そして、もし使ってみたい場合はこちらから体験版をダウンロードしてください。体験版は、無料です。
