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【OLMインタビュー】デジタルアニメ制作に必要なマシンスペックを教えてください!

Tags: OLM スタジオ インタビュー

アニメ制作のデジタル化には、依然多くのスタジオさんが興味をお持ちのようです。しかし、導入に向けて最後の一歩を踏み出すことは、決して容易ではありません。

デジタル化を躊躇してしまう要因のひとつが「デジタルアニメの制作に必要な機材やソフトのスペックがわかりづらい」という点かもしれません。実際、先日お会いしたアニメスタジオさんからは「Toon BoomのHarmonyを導入して、デジタルアニメ制作に取り組んでみたいけど、そのために一体どのくらいのスペックの機材を揃えたらいいの?」というご質問をいただきました。

そこで今回は、すでにStoryboard ProHarmonyを導入し、デジタルアニメの制作を実践されている株式会社オー・エル・エム様(以降、OLM)にご協力いただき、スタジオで使われている機材のスペックについて教えていただきました。

OLMのデジタル制作事情を、インタビュー!

取材に対応してくださったのは、OLMグループのOLM Digital R&D システム担当のみなさん。取材させていただいたのは2019年3月19日です(したがって、以降の情報はその時点でのものとなります)

それでは早速、伺ったお話をまとめていきましょう。

ー OLMではデジタルでのアニメ制作と、紙を使ったアニメ制作が混在していると聞きます。現在、どんな役割の方がデジタルで作業をしていますか?

常勤でToon Boomを使っているスタッフは、原画が8名ほど、動画が13名ほどいます。動画の中には、仕上げまでデジタルで行う方もいらっしゃいます。

また、Toon BoomのStoryboard Proを使ってデジタル絵コンテを作る人も、5名ほどいます。

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ー 会社が用意する機材は、作業の重い・軽いや作業内容そのもので、変わるものですか?その場合、ざっくりどのような分け方になりますか?

そうですね、やっぱりデジタルで絵を描く人や、Harmonyを使った作業が多い人には、パワーのあるデスクトップマシンが必要になります。少しの表示の遅延がストレスになる作業だからです。

逆に、パソコンを日頃から持ち歩く人や、デジタルでの作業が軽めの人、Storyboard Proでの絵コンテ作業が中心だったり、デジタルだけでなく紙での作業も多い人には、ノートパソコンを用意しています。

紙の作業が多い方は、作画机の上にデスクトップパソコンとディスプレイを広げるスペースが取れないこともあって、そういう面でも省スペースのノートパソコンは重宝されます。

ー なるほど。それでは早速、デジタルでの作業が重い方(Harmonyでの作業が多い方)が使っている機材と、スペックを教えてください。

まずパソコンは、Dellの『Precision T3420』というデスクトップパソコンです。

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Harmonyを使った作画など、重めの作業が中心の方のパソコンスペック
  • モデル:Dell Precision T3420
  • CPU:Intel Xeon E3-1240v5 (4Core 8Thread 3.5-3.9GHz)
  • メモリ:32GB
  • GPU:NVIDIA Quadro P1000 (VRAM 4GB)
  • ストレージ:256GB 2.5inch SATA SSD
  • OS:Windows 10 Pro 64bit

ディスプレイは、DELLの「U2415」を導入しています。

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次にタブレットは、今は徐々にWacomの『Cintiq 16』の導入を進めています。

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ー ありがとうございます。それでは、逆にいわゆるデジタル作業が軽い方が使っていらっしゃるノートパソコンと、そのスペックを教えていただけますか?

はい、デジタル作業が軽めの方が使っているノートパソコンは、同じくDELLの『Latitude 5590/7390』という機種になります。

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Storyboard Proなど、軽めの作業が中心の方のパソコンスペック
  • モデル:Latitude 5590/7390
  • CPU:Intel Core i3-8130U (2Core 4Thread 2.2-3.4GHz)
  • メモリ:8GB
  • GPU:Intel UHD Graphics 620
  • ストレージ:256GB M.2 SATA SSD
  • OS:Windows 10 Pro 64bit

ー なるほど。環境に対して、作業者からの不満や改善要望はありますか?

機材やソフトへの要望は、あまりありません。

作業環境という意味では、デジタルのアニメ制作でタブレットを使う人は、天井の照明がタブレットに反射すると作業しにくくなるようで、一部の電気を消して作業しています。

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この部屋の場合、消防法が理由で全ての電気を消すことができませんが、工夫してデジタルアニメーションに取り組んでいます。

ー ありがとうございます。それでは最後に、これからデジタル化を進めようと考えているスタジオさんに、なにかアドバイスをいただけますでしょうか。

これは3DCG業界でも同じですが、チームが中規模以上になるとデジタル化のハードルが上がる部分はあります。

具体的に言うと、5人〜6人規模のスタジオさんであれば、割とスムーズに機材代だけでデジタル化できる部分がありますが、これが10人を超えてくると、導入ハードルが変わります。

これまでのオフィスで、機材の電力は賄えるのか?機材が排出する熱に、エアコンは耐えられるのか?サーバーは構築できるのか?というような課題が出てくるはずです。ある意味これは、アニメーションに限らず、一般的に小さなチームが会社になっていく過程で生じる問題とも言えるかもしれませんね。

そして、このあたりのことがわかる人材が市場に少ないです。Sierの中から探したり、専門学校と話をしたり、外注する等の解決策があると思います。

ー なるほど、勉強になりました。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

まとめ

ということで、OLMさんのデジタル制作環境を聞いてまいりました。いかがでしたでしょうか?

具体的にスタジオで使っている機材のスペックを伺える機会は滅多にないですので、非常に多くの学びが詰まっていました!

最後にアドバイスしていただいた「デジタル化に際して生じる課題」の部分に関しては、弊社(Toon Boom)製品のことであれば全力でお手伝いいたしますので、お気軽にお問い合わせください!